不動産を相続したときの「手続きと費用」とは?
不動産を相続した場合、いったい何から始めればよいのだろうと不安に思われている方も多いと思います。
この記事では、読者様が不動産を相続した場合に知っておくと良いこと、やっておいた方が良いことをご紹介しています。
不動産を相続したら名義変更(相続登記)が必要
不動産を相続した場合に、全ての方に共通する相続手続きが、名義変更(相続登記)の手続です。
亡くなった方(被相続人)の名義になっている不動産を、その不動産を相続した相続人の名義に変更する手続きのことを相続登記と言います。
日本中にある不動産の情報は、すべて法務局に登録されています。「所在地」「大きさ」「所有者」「種別」が保管されている情報です。
相続によって不動産の所有者が変わると、この情報のうち「所有者」の部分が変わりますので、この変更手続きをする必要があり、これを相続登記と言います。
不動産の名義変更(相続登記)にかかる費用
登録免許税に掛かる費用は、相続登記する物件の固定資産税評価額の0.4%になります。
提出書類(戸籍・住民票・証明書等)の取得費用実費として掛かる費用は数千円程度になります。
上記からわかるとおり、相続登記にかかる主な費用は、登録免許税と言われる税金です。
登録免許税は、相続登記をする不動産の価値により変動し、固定資産税評価額の0.4%と決まっています。
例えば、固定資産税評価額が3,000万円の物件であれば、3,000万円×0.4%=12万円ということになります。
この固定資産税評価額については、毎年市区町村から送付される固定資産税の課税明細書(納税通知書)に記載されていますのでご確認下さい。
また、それ以外にかかる費用は、実際の申請時に必要となる戸籍謄本や住民票などの証明書類関係の取得費用の実費ですが、
これは人によって異なりますが、合わせても数千円程度の費用となります。
さらに、この相続登記の手続自体を司法書士に代行してもらう場合にはその報酬もかかってきます。
物件の数や依頼する業務の範囲にもよりますが、10万円前後の費用になります。
不動産の名義変更(相続登記)の必要書類
「法務局で取得するもの」
・対象不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)
「市区町村役場で取得するもの」
・被相続人の住民票の除票(本籍の記載があるもの)
・被相続人の死亡時から出生時までの戸籍謄本
・相続人全員の現在の戸籍謄本
・対象不動産を取得する相続人の住民票
・対象不動産の固定資産評価証明書
・相続人全員の印鑑証明書
「自ら作成するもの」
・遺産分割協議書
相続登記に関わる必要書類で主なものは上述の通りです。
なお、遺言書がありその遺言通りに相続登記を行う場合には、遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明書は必要がありません。
これらの必要書類ですが、相続登記の手続を司法書士に代行してもらう場合には、印鑑証明書以外についてはすべて代行取得をしてもらうことが可能です。
司法書士がすべて直接、職権で代理取得することが可能となっています。
相続登記は自分できるの?
相続登記の手続については、専門家である司法書士に代行を依頼される方がほとんどです。
その場合には、費用(約10万円程度)はかかりますが、印鑑証明書を取得し、
必要書類に署名・押印をするだけで手続きが完了しますので、手間はほとんどかかりません。
ご自身でやってできないことはありません。法務局や市区町村役場に何度か足を運べば窓口の方が教えてくださいますので、その指示に従えば手続きは可能です。
ただ、書類に記載ミス等があれば、提出後、後日呼び出しがあって再度訪問したり、添付書類に不備があれば、また再取得・再提出する必要があったりと、
手間や時間がかかります。それらの手間と司法書士に依頼する場合の費用を天秤にかけて、ご自身でするか専門家に依頼するかを検討されるのが良いかと思います。
相続登記には期限はあるの?
相続登記を行うことは義務ではなく、いつまでにやらなくてはいけないという期限もありません。
義務ではないので、相続登記をせず放置をしておいても、特に罰金等のペナルティはありません。
しかし、相続登記を行わないと下記のデメリットやリスクがありますので、相続登記は必ず行うことをお勧めします。
相続登記を行わない場合のデメリットやリスク
・不動産を売却したり、担保にして借入れをすることができない
所有者が亡くなった人名義のままの状態では、その不動産を売却することができません。
また、その不動産を担保にして借入れをすることもできません。
つまり、相続登記をしなければ、第三者に対して、その不動産が「自分のもの」と主張することができないということになります。
・他の相続人に勝手に不動産を売却される恐れがある
不動産の所有者がお亡くなりになった場合、遺産分割協議がまとまるまでは、その不動産は一時的に相続人全員の共有状態となります。
共有状態とは相続した不動産が共有者全員の持ち物という状態です。
この共有状態でも、1人の相続人が持っている持ち分の部分を第三者に売却することができてしまいます。
通常であれば、共有状態の不動産を購入するということは購入者側の立場にたつと考えにくいですが、
例えば他の相続人に嫌がらせをしてやろうといった気持ちで勝手に売却をしないとも限りません。
もしそうなってしまっても、即座に本来の所有者の所有権がなくなるというわけではありませんが、
本来の所有者に名義を戻す手続きはかなり面倒な手続きになります。
・あとから相続登記をすることが困難になる場合がある
相続人の間で遺産分割協議がまとまり、あとは相続登記をするだけの状態になっていたとしても、
相続登記をしない間にその相続人のうちの一人が亡くなってしまった場合には、
その亡くなった相続人のさらにその相続人の協力が必要になってきてしまいます。
相続登記をせずに放置をしていると、協力を得なければいけない人数がどんどん増えていき、
最終的には相続登記をすること自体がほぼ不可能になってしまう可能性があります。
上記のように、相続登記をしないことによるデメリットは大きいため、特段の事情がない限りは、
相続登記は遺産分割協議がまとまればできるだけ早めに済まされることをお勧めします。
しかし、合意ができずにトラブルになることも多く、相続人の人数が多かったり手続きに非協力的な人がいたりする場合は、協議を進めるのは非常に大変になります。
相続が発生してから対応していくのではなく、相続が発生する前に遺言書を作成するなどの対応が大事になります。
不動産を相続したら相続税が掛かる可能性がある
相続税は、「被相続人の相続財産のすべての合計額」が「基礎控除額」を超える場合にかかってきます。
相続した不動産の価値だけではなく、他に相続した金融資産や、他の相続人が相続したものを全て含めなければ、相続税が発生するか否かの判断はできません。
「相続税の基礎控除額」は以下の算式で計算できます。
相続税の基礎控除額 = 3,000万円+600万円×相続人の人数
例えば、相続人が3人であれば、3,000万円+600万円×3=4,800万円ということになります。
そして、相続財産の総額が4,800万円以下であれば相続税が掛からず、それ以上であれば相続税が掛かることになります。
では、相続税が掛かる場合に、いったいいくらぐらい掛かるのか、その相続税の計算方法を解説します。
不動産を相続した場合にかかる相続税の計算方法
不動産を相続した場合にかかる相続税を求めるためには、まず相続した不動産以外の相続財産も含め相続財産の総額を合計する必要があります。
ここで問題になってくるのが、不動産の評価だと思います。
預貯金の場合は、1億円あれば1億円が相続税評価となり、額面通りの評価となりますので迷うことはないと思いますが、不動産の場合はそう簡単ではありません。
路線価格に面積を乗じて、さらに各種の補正率を加味することで土地の相続税評価を求めることになるのですが、
この計算過程はとても複雑でご自身で計算されるのは難しいと思います。
相続登記や相続税以外に、不動産を相続した場合に知っておきたい事を解説します。
この記事では「不動産を相続した場合にかかる税金」「不動産を相続した者の責任」について解説していきます。
不動産を相続した場合にかかる税金の一覧
不動産を相続した場合にかかってくる税金について解説します。
相続登記の際に掛かる、登録免許税及び司法書士の報酬については、「不動産の名義変更(相続登記)にかかる費用」、
相続税については、「不動産を相続した場合にかかる相続税の計算方法」で解説した通りですが、それ以外に、発生する可能性のある費用をご紹介します。
1. 相続人以外が取得した場合には不動産取得税がかかる
不動産取得税は、不動産を取得した場合に掛かる税金です。固定資産税評価額の3%がかかってきます。
但し、相続により取得した場合には、この不動産取得税は原則かかりません。
ただ、遺言書によって相続人以外が不動産を取得した場合にはこの不動産取得税がかかってきますので注意が必要です。
2. 相続した翌年からは固定資産税がかかる
また、不動産を所有していると固定資産税と言われる税金が掛かってきます。
毎年、1月1日時点の所有者に対してその年1年分の固定資産税が課税されることとなります。
よって、相続によって取得した翌年からこの固定資産税を支払う義務が生じます。
3. 相続した不動産を売却すると所得税がかかる
相続した不動産を売却した場合には、譲渡所得に該当し所得税が課税されることになります。
その土地を所有していた期間により税率は異なりますが、
5年以上所有していた不動産であれば「所得税15.315%」と「住民税5%」の「合計20.315%」の税金を支払う必要があります。
この譲渡所得については不動産を売った年に税務署で確定申告を行う必要がありますので、忘れずに行うようにしましょう。
また、相続した不動産を売却した場合には様々な特例の適用を受けることができる可能性があります。
多く所得税を支払わない為にも相続した不動産を売却された方は専門家に相談してみてください。
4. 相続した不動産を賃貸していた場合には所得税がかかる
相続した不動産が賃貸物件だった場合には毎年不動産所得が発生し確定申告を行う必要があります。
毎年税務署に対して確定申告を行う必要がある為、負担がかかることになります。
もちろん専門家である税理士に依頼することも可能ですので、忙しい方は一度相談されてみるのも良いと思います。
不動産を相続したら「管理者責任」がついてくる
不動産の所有者になると、「管理者責任」がもれなくついてきます。
例えば、「建物」を相続した場合、家の屋根が台風等で飛んで、近隣のお宅を傷つけてしまった、通行人に当たり怪我を負わせてしまったなどの場合は、
その責任を負わなければならないといったものです。
建物が劣化している場合は倒壊の恐れがあり、周囲の方々とのトラブルにならないように相続した不動産を管理する必要があります。
また、メンテナンスをしっかりしていても、不審者等が住みつく、不審火、犯罪に使われる恐れもありますので注意が必要です。
「土地」を相続した場合でも、「管理者責任」はついてきます。
木が植えてある場合、電柱や電線に当たらないように管理しなければならず、近隣に住宅がある場合は越境して隣家に木や雑草が掛からないように管理が必要です。
上記のことから、不動産を相続した場合には、その管理を地元の不動産会社に依頼するか、売却の相談をするか、定期的に訪問してきっちりと維持管理を行うといったことが必要です。
*2020年3月時点
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